身体の調子がいまいちだと、レッスンがまったく捗らずその日一日何も進歩しないということがあります。
声楽を習って13年目にも関わらずたびたびこのような状況になってしまうので、これは大変だと思い自分を振り返ってみました。
すると、先生がくださるアドバイスは実はいくつかの種類に分けられるということに気付きました。
書き出してみるとこんな感じです。
①そもそも発声の方向性が間違っているという指摘
②発声の方向性は正しいが、足りない、身についていない部分についての指摘
③さらに声を発掘していくための指摘
④その曲に声を載せるためのテクニックについてのアドバイス
⑤音楽に向かう姿勢についてのアドバイス
これらを書き出したノートを眺めながら、頭に残っているアドバイスが②〜④に偏りがちであることに気付きました。
でも、よくよく考えてみると、声楽に取り組む人間として一番大事なものは①や⑤であると気付きました。
何ということでしょう。
私はただ先生から「歌を習っている」と認識していたのですが、実は「舞台で通用する声や、人としての在り方」を教えていただいていたんです。
ふと思い返すと、調子が悪くてレッスン中にあれこれ自分目線で画策してしまう時は①の指摘ばかりを受けていました。
それは、「舞台で通用する声の方向性からかけ離れているよ」という指摘だったのです。
こんなことに10年以上も気付かなかったのだと分かり、呆然としてしまいました・・・。
また、私が何十回、何百回と道を踏み誤っても、諦めずに導いてくださる先生の多大な労力や愛に気付き、教えることは愛なしにはできないことなのだと分かりました。
それで、今回このことを悟ることができたのは、これについて真摯に祈ったからだと思います。
先生が命の時間を捧げて身につけてきたものを私が受け取れる見込みがなく、同じところを行ったり来たりしていることについて悩み、本気で祈りました。
悟ることがなければ人生はただの繰り返しであり、いつか人生を終える瞬間に絶望するだけであるとも思いました。
その瞬間に感じるのは、今まさに苦しみの人生を終える自分には何一つ残されていないこと、稼いだお金も育てた子供も目の前からいなくなり、虚しさ、寂しさだけではないでしょうか。
私は20代の頃にそのような未来が見えたので、全てに絶望して道を模索しました。
その結果、たどり着いたのが今の道です。
このような導きに心から感謝しています。
参考記事: